抗IgE抗体による慢性蕁麻疹への最新免疫療法(米国FDA:米国の厚生労働省、認可済み)を行っています。院長自身が、慢性の蕁麻疹に苦しんでいた経緯もあり、最新の免疫学的治療を導入しました。
慢性蕁麻疹とは、蕁麻疹の症状が頻繁に出る状態が6週間以上続く事を指します。血管性浮腫が合併する事もあります。
蕁麻疹とは:一般的には、盛り上がった痒みを伴う皮膚症状をもちます。蕁麻疹自体は、人口の1%程度の保有率です。夜間に強い痒みを持つ傾向があり、寝れないほどの痒みを持つ事があります。熱さ(熱いお湯)、NSAIDsと呼ばれる痛み止め(抗炎症)の薬、ストレス、アルコール、肉、香辛料などが悪化要因となります。橋本病などの甲状腺疾患、シェーグレイン症候群、SLEなどの自己免疫疾患などを合併している事があります。特に、橋本病の合併率は比較的高いです。特定の原因(薬、アレルゲン物質、アトピーの症状など)が判明する場合もありますが、全体の10%程となります。新規で発症の場合は、食べ物、昆虫、植物との接触、食べ物、薬、ゴムなどのアレルギー物質との接触、寒冷刺激、温熱刺激など可能性があります。慢性の蕁麻疹では、特定の原因が分からないケースがほとんどですが、IgE, マスト細胞、好塩基球を介した免疫反応が関与している事は分かっています。
蕁麻疹の治療:一般的には(保険診療では)抗ヒスタミン薬と増悪時の短期間のステロイド薬での対処となりますが、これらでコントロールできない難治症例も多いです。
難治性の蕁麻疹に対する抗ヒスタミン薬以外の治療として、当院では最新の免疫治療である、抗IgE抗体治療を行っています。IgEの活動は、ステロイドだけでは抑える事はできませんので、直接的にIgEを抑える治療が有効となります。米国では、12歳以上の慢性の蕁麻疹に対する治療としてFDAが認可している治療法となります。日本でも、重症喘息の治療として許可されています。2016年現在、日本では慢性の蕁麻疹には保険適応されていません。
抗IgE療法の治療成績:慢性蕁麻疹に対する唯一根治しうる治療となります。開始から1週間ほどで治療効果は現れ、研究では従来の治療が全て効果がなかった蕁麻疹の中で、50−60%が完治し、90%以上の蕁麻疹で症状の改善が認められています。
抗IgE療法の副作用:1000人中、1〜2名ほどの確率で、アナフィラキシー反応が生じるとされています。
治療費:12〜15万円/回(用いる薬剤の容量による)
1回/1ヶ月〜1ヶ月半の治療で3〜6ヶ月の治療となります。(自由診療での治療となりますが、医療費控除が可能なので、確定申告により所得により治療費の最大55%は確定申告により還付されます。)